会社の作業着に着替えている時間については、労働時間であるか否かがよく議論になります。同様に、お昼休みの電話番の時間や、始業前の掃除の時間なども労働時間性の有無の判断が難しいところです。
以下、それぞれの場合の労働時間性について解説します。
・着替えの時間
会社が指定した場所で、指定した作業着に着替えるための時間は労働時間となる可能性が高いでしょう。宅配業者や金融機関の受付業務など、会社のユニフォームで通勤することがふさわしくない職種では、特定の場所に着替えることを命令せざるをえないでしょう。着替え場所や時間について指揮命令関係がない場合は労働時間でないこともありえます。
・お昼休みの電話番
休憩とは、労働から解放されている時間です。解放されているかどうかは①業務上の緊張を求められないか②場所が拘束されていないかなどをもとに判断します。事務所で電話番をする時間は場所を拘束されていますし、電話が鳴ったら出なければならないわけですから労働時間とみなすべきでしょう。
・掃除時間
掃除時間についても前述の内容と同様に、会社の指揮命令下にあったかどうかが重要な判断ポイントになります。開店準備で掃除をする場合、やはりそれは業務の一環とみなすことが多いでしょう。
・労働時間である場合の影響
これらの時間が労働時間となった場合、2つの影響があります。1つはその時間分の給与の支払い義務が発生すること、もう一つはその時間中の事故が労災の対象になるということです。このように判別が難しい時間がある場合は、その時間の指揮命令の程度をもとに検討し、早めに対応を検討すべきでしょう。
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